寿命が延びる?暖かい家に住むことの重要性とは
暖かい家に住むと、寿命が延びるといわれていますが本当でしょうか?電気代や灯油代がかさむことから、寒い冬場でも暖房を我慢している人がいるかもしれません。しかし、寒い中で生活すると、私たちの健康に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。今回は暖かい家に住む重要性について、暖かい家づくりの方法と一緒に紹介します。
室温18度以下は危険?住まいと健康の関係
国連の専門機関であるWHO(世界保健機関)は、家の中の温度は18度以上をキープすることを勧告しています。18度は許容温度であり、望ましい温度ではなく、保つべき温度です。つまり、健康のためには18度以上を必ずキープしなければいけないといえます。もし室温が18度の家で暮らし続けると、以下のような健康リスクが生じるかもしれません。
ヒートショック
もっとも注意しなければいけないのが、ヒートショックです。ヒートショックとは急激な温度差が原因となって血圧が上下し、さまざまな疾患を引き起こすものを指します。心筋梗塞や脳梗塞、脳出血、大動脈解離など、命に危険がおよぶものが少なくありません。
東京都健康長寿医療センター研究所による推計では、2011年の1年間で約17,000名の人が入浴中に死亡したとされています。ヒートショックが起こりやすいのが、冬場の入浴時です。暖房がよく効いたリビングから寒い脱衣所へ移動し、衣類を脱ぐと寒さで血圧が急に上がります。次に温かい浴槽へ入ると身体が温まり、上がった血圧が急下降。心臓や血管に大きな負荷がかかり、上記で述べたような疾患を誘発するのです。
高血圧
高血圧になるリスクもあるでしょう。寒い環境下では、人間の体は体温をできるだけ逃がさないように血管が収縮し、血圧が上がりやすくなる特徴があります。高血圧の状態が続くと血管が徐々にもろくなり、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化、虚血性心臓病などの発症原因となってしまいます。
頻尿
寒いとトイレが近くなる経験を持った人がいるのではないでしょうか?寒くなると体は汗をかきにくくなり、その分、尿の量が増えます。また寒さが膀胱の筋肉を収縮させ、尿をたえる容量を少なくすることも原因です。
睡眠が乱れる
4つ目は睡眠の乱れです。眠りを誘発するためには、手足から熱を放出して、深部体温を下げる必要があります。しかし、寒い部屋では手足が冷たくなり、うまく熱を放出できません。深部体温が下がらず、睡眠が乱れてしまうのです。
低体温症
最後は低体温症です。深部体温が35度以下になると、体の機能を正しく保てなくなります。激しい震えや意識障害のほか、最悪のケースでは死亡する可能性もあるでしょう。
どうしたら暖かい家にできる?
健康のためには最低でも18度以上を保った、暖かい家に住むことが欠かせません。しかし、具体的にどうすれば家を暖かくできるのでしょうか?主な方法は次の3つです。
方法①:窓に断熱シートを貼る
何も対策を講じていない窓だと、外の冷たい空気がガラス面を冷やし、室内の暖かさは逃げていってしまいます。ホームセンターなどで断熱シートが売っているため、窓に貼ってみましょう。空気の層がつくられ、暖かさを外へ逃がさず、また外からの冷たい空気の侵入を遮断できます。
方法②:大きくて生地の厚いカーテンを使う
2つ目は、大きくて生地の厚いカーテンを使うことです。たとえば、カーテンが小さいと、隙間から冷たい空気が侵入しやすくなります。また生地が薄いと、やはり冷たい空気が通りやすくなるでしょう。窓に対して大きいものや、より生地が厚いものに交換すると、暖かさを保てます。
方法③:石油ストーブなどの輻射熱が出る暖房器具を使う
石油ストーブといった、輻射熱が出る暖房器具を使う方法もあります。輻射熱とは電磁波による熱のことで、温度の高いものから低いものへじんわりと伝わるものです。身体の深部まで熱が届き、暖かさを保てます。
注文住宅を建てるなら断熱性に注目!
上記で解説した方法以外にも、断熱性を取り入れた家に住む方法もおすすめです。断熱性とは外の空気を室内に入れない特性のこと。断熱性が高い家は室内温度が外気温に影響を受けないため、寒い冬でも暖かさをキープできます。家を建てた後に多少の断熱補強はできますが、根本的な対策としては不充分です。そのため、これから注文住宅を建てるときは、断熱性能に着目することが大切です。上記で紹介した健康面のリスクを軽減できるほか、光熱費の節約にもつながるでしょう。
まとめ
健康リスクを起こす観点から、WHOは家の温度を18度以上に設定するように勧告しています。18度以下の居住環境ではヒートショックや高血圧、頻尿、睡眠の乱れ、低体温症などの健康被害が発生するかもしれません。すでに住んでいる家の場合は窓に断熱シートを貼ったり、大きくて生地の厚いカーテンを使ったりするのが効果的です。またこれから注文住宅を建てる際は断熱構造を取り入れて、根本的な温度対策を取るとよいでしょう。